君のためにできること
裏切りの季節―――


僕と彼女にとって中学3年の秋は、この言葉がもっともよく似合っていた。
僕は予定通りテニスの推薦で高校への進学は確定していた。彼女も着々と自分の将来へ向かうつもりでいた。彼女は高校へは進学せずに本格的に音楽活動を始めようとしていたんだ。

「ねぇー岳?」

僕は彼女のその声の方に首を傾けて応える。

僕の腕を枕代わりにしている彼女は、僕を上目づかいで見つめていた。


「岳は高校行くんだよね?」


「そりゃーね。まだこの先どーとか考えてないけど、俺にはテニスがあるし。」


「でも、バンドも続けてくれるんでしょ?」


「…あぁ…もちろん。でもテニスのこともあるから前みたいにしょっちゅう練習に行くみたいにはできなくなるかも…」


「だよね…やっぱり」


彼女は僕から目を逸らしてそう呟いた。


「しかたないでしょーでもちゃんと続けていくから、華蓮のサポートしていくよ。」


再び僕を見つめなおした彼女は笑顔になる。



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