君のためにできること
スーツを着た大人たち、僕たちみたいに年齢誤魔化しても入る学生。

とても安くて貧乏学生でも飲み食いできる、僕と恭介の行きつけの居酒屋。お疲れの意味を込めての乾杯。混んでいたせいかちょっとぬるいビールで乾いた喉を潤した。

「なぁ、恭介…人を好きになるってどういうことなんだろうな。」

僕は、独り言のようにつぶやきながら恭介に質問した。

「は?急に何言ってんの?」

そう呆れる恭介に構わず言葉を続ける。

「俺、今までさ…好きになったことないって言うか…付きあった相手のことが好きなのかもどーかわかんなかった気がする…」

「今まで付き合った人数って何人?」

恭介は僕の悩みの相談に乗っかってそう僕に尋ねた。

「ん…5、6人だったかな…全部告られて付き合ったんだけど、すぐ振られた。」

僕は何故なのか彼女のことは数には入れなかった。

「なぁ…それ厭味だろ!コノヤロウが!!」

恭介は僕の頭を軽く小突いた。

「大まじめだよ…なぁ…友達と恋人の違いってなんだと思う?」

僕は大まじめに恭介にそう質問した。

「はぁ?おまえどうしちゃったの?…」

「いいから!」

はぐらかす恭介に真面目に答えるように促した。
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