君のためにできること
「そんなこと考えたことねぇーよ…だいたいさぁー人それぞれなんじゃねぇーの?」
恭介は、残り4口くらいのビールを一気に飲みほした。
「プハァー…うん…まぁ、俺は護るべき人が恋人なんだろうなって思うけどな。」
恭介はそういうと通りすがる店員にビールの追加を頼む。
「…俺にはさぁ…簡単にヤれるかヤれないかの違いでしかない気がするんだ…」
「はぁ?鬼畜かお前は!」
呆れた顔で恭介は言う。
「でも実際そうだろ?」
「あのなぁーきっとお前は心から好きだって思える相手に出逢ってないだけなんだろ?それかー…」
恭介が、左の人差し指を右手で扱く真似をして言う。
「ヌキたいだけとか?」
「なんだそりゃ?」
僕は、呆れた顔をして答えた。
「まぁでも、ただヌキたいだけなら一人ですりゃいいだろ…誰かとしたがるのは寂しいって思うからなんじゃねーの?」
「――――ッ」
僕は、お酒のせいか恭介の突っかかった言い方に少し腹が立って、睨みつけた。
「つまり、お前には忘れらんないやつがいるってことさ。」
僕は恭介の答えがあまりにも的確だったため怒りはすっかり覚めてしまった。本当は自分でもわかっていたんだ。結局のところ、やっぱり僕は、別れて3年以上経っても彼女を忘れることができていなかったんだ。