君のためにできること
「うー…気持ちわりぃー…」

僕は恭介に肩を貸して一緒に渋谷駅までセンター街を歩いていた。

「恭介、お前弱いのに飲み過ぎだっつーの!」

その時、不意に聞き覚えのある声を耳にしたと思い立ち止った。

「あー…この曲好きなんだよねぇーロックって感じでさぁ~ヘドバンしたくな…っうぅ…」

僕に肩を預けている恭介はそう呟きながらリズムにのって頭を少し振った。
しかしそれが仇となったのかいきなり僕を突き飛ばして一目散に道の端へ行きゲロを吐いた。

「あーあ…」

僕はそういうと。恭介のもとへ歩いていき、背中をさすってやった。
その傍らで僕は、流れているこの声に耳を向けていた。この声、忘れもしない。忘れることもできない。

そう彼女の声だった。

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