君のためにできること
【Blue Rose】

それが今の彼女のバンドのグループ名。
インディーズバンドの中でトップクラス。メンバーは、ギター、ベース、ドラムそしてヴォーカル全員女性。インディーズ時代に数曲だして、その一曲が注目を浴び、僕があの時聞いた曲でデビューを果たしたんだ。

【Blue Rose】
今の僕ならその意味がわかるよ。青いバラ。以前は不可能の象徴とされていたが、近年青いバラを咲かせる研究が実をなして、青いバラは夢を実現するという意味に変わったたんだ。

まさに彼女そのものだった。

僕は、落ち着いた恭介に改めて肩を貸した。

「わりぃ…岳…ちょーしにノリすぎたわ」

「たくよー気持ち悪いのに頭ふんなよ。」

センター街を抜け、スクランブル交差点までやってきた。
そしてビルの大画面に映っている彼女を見た。

透き通る声に荒々しい声が混ざったあのヴォイス。変わらなかった。いや…その声にはさらに磨きがかかっていて、聴く者に何かを感じさせそうな声になっていた。そして、彼女の容姿は一段と女らしくなった。

酔いながらも、顔を上げた恭介が画面をみて言う。

「カッコイイよなぁーカレン…なんか見た目はクールビューティーって感じだけど、あの
華奢な体から信じらんないくらいハードな声がだせるんだぜ。」

そういう恭介の声を上の空で聞きながら、僕は彼女との再会に心を躍らせていた。カレンと名乗っているんだと、心の中で思った。似合わないだろって付き合っていた当初、何度も言ったことを思い出した。

再会というのは言い過ぎではあるが、僕にとってはそれほどのことだった。
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