君のためにできること
壇上に立つ僕たち、その姿にとても驚いていた。
君と朱里が僕たちの方に向かってくる。

「驚いたな。こんな花束まで用意してもらって。ね、朱里」

「うん、でも恭介…バラはやり過ぎ…」

そういうと恭介に一歩近づいた朱里は小声で言う。

「先輩より目立ってんじゃん!」

「やっぱりそうだよね。」

僕は、恭介の方へ向き返り言う。

「だから言ったろ。派手過ぎだって。」

「いいじゃんかよ。俺の心の籠った花束受けっとってよ。」

「はいはい、ありがと、ありがと。」

そうは言ったものの朱里は嬉しそうに真っ赤なバラの花束を恭介から受け取った。
そして君は僕の方へ向き返り言う。

「驚いた…本当にありがとう。」

「あぁ、最高に素晴らしい演奏だったよ。」

ふと彼の視線に気付き彼のほうを横目で見たが、棘のあるような目つきで僕を見つめていた。
この出来事がきっかけで、君と彼の間に深い溝ができてしまったんだよね。でも君もそれでよかったと思っているに違いない。僕はそう思うことで自分を正当化することにしたんだ。


君は知ってるかい。

あの時君に贈った花束。
マーガレットやキキョウ・スミレ等を繕ってもらったんだ。

花言葉は…


謝罪…


君にあの時の事を謝ろうと思ったんだ。
この場で渡すものでもないと思ったけど、そうぜずにはいられなかった。
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