君のためにできること
それから、君は彼とのことで何かあると、しきりに僕に相談するようになった。
片思いとはここまで歯痒いものとは思わなかった。今まであの彼女以外は告白されて付き合うだけだったからこの感じは久しいような、そうでないような気がするんだ。
あれから僕は君に恋い焦がれながらもその気持ちを必死に抑えていた。
それはね、君の天使のような心からの笑顔が見たかったからなんだ。
悲しい顔なんて見たくなかった。君のことを彼から略奪することも考えたが、あの出来事の後ろめたさがその気持ちを萎えさせていた。
あの頃の僕は君専属の道化師(ピエロ)になろうとしていた。悲しい顔はしないで、おどけた顔で朝が来るまで笑わしてあげるんだ、たとえ僕が悲しみのどん底に陥ろうとも…
しかし頭では理性が働いてそう考えていたけど心がそれを制御できなかったんだ。
"いつまでも君だけは側にいて欲しい…"
僕はこの心から湧き出てくる感情を必死に抑えていた。
そう…僕は君を抱きしめたときに気づいてしまったんだ。
もう君を愛しはじめてしまっていることに…