君のためにできること
「なーにむきになってんの。彼女じゃないってことは好きな人?」
僕は、しばらく答えなかったが、この状況の沈黙に耐えきれずに答えてしまった。
「…あぁ、そーだよ。華蓮以外で初めて僕から好きになった人だ。」
僕は、彼女をみつめ返すと真剣な表情で言った。
「不思議なんだけど、華蓮とは全くの正反対のタイプだ。でもどこか…どこだかわからないんだけど、大切な、何かが華蓮と似ている気がするんだ。だから好きになったのかもしれない。」
おかしな話だが僕は、彼女に君の素晴らしさを語ったんだ。彼女とのベットの最中で。
「このシチュエーションでそんなこと言われても全く説得力ないよ。」
「う…うるさいな…」
僕はそういうとベッドの脇に置いたタバコとライターをとり、火をつけた。
メンソールの香りが辺りに漂う。あからさまに動揺している僕に彼女はいたずら心がわいたのか、僕の乳首を爪ではじいて弄んだ。
いつから、男の乳首を弄ぶ習慣がついたのであろう。くすぐったくもあるが、快楽に繋がるものもある。実に気持ちいいのだ、滑稽な自分に僕の下半身は萎えるどころかまた鉛のように堅くなりはじめた。あれだけ何度も何度も快楽を求めるセックスを繰り返してもまだ、そそり起つ自分の下半身に僕は快楽狂なのではないのかと疑ってしまうほどだ。
「その彼女に黙ってこんなことしてていいのかなぁー」
そういう彼女は、僕のいきり立ったモノを掴んで扱きはじめた。
「きっと…華蓮のせいなんだ…華蓮が僕に快楽というものを教え込んだ…」
そう言い放つと僕は、乱雑にタバコを消し、再び彼女に覆いかぶさり、彼女の奥深く入っていく。僕にとって彼女はタバコのような存在だったのかもしれない。
火をつけると激しく燃え上がり、僕に麻薬のような快楽を与えてくれる。中毒性のある女だ。
僕は自分の心の弱さをそんな魅力のある彼女のせいにした。最悪だった。そんな最悪な僕を彼女とのセックスは快楽の園へと誘っていく。
何もかも忘れさせられるかのように。