君のためにできること
話をしたように、僕の衝動は彼女のおかげで収まっていて、その後も君とは、友達として接することができた。
君のことを傷つけることになっても、この後のことを君に話さなくてはいけないね。
正に君はこの最悪な出来事から救い出してくれた張本人なのだから。

僕は君を裏切り続けながら、再び彼女にのめり込んでいくことになる。君という高嶺の華を傍観しつつ、華蓮と言う快楽狂に付き合い、快楽の限界まで求めていったんだ。

彼女との再会から僕たちは、時間が合う度に会い、会ったら必ずセックスをしていた。
ときにはラブホテル、ときには彼女の自宅、そして僕のせまっくるしい部屋。お互い激しく求め合った。
ただ、ふとテレビの音楽番組で彼女をみると不思議な感覚に包まれる。ステージでその真紅の髪を振り乱す度に僕は、彼女とのベットを思い返す。
この全国番組でライトアップされて華やかにそして激しいステージで観客を圧巻させ震わせる彼女はまぎれもなく、あの華蓮なのだ。

彼女との濃密な三ヶ月間はあっと言う間に過ぎ去っていった。
そしてついに僕の生涯の中で最悪な時期が訪れる。生きているのか、死んでいるのかも判らなくなるほどの孤独。僕は発狂し読んで字の如く廃人と化したのだ。彼女と共に。

彼女は風俗嬢の頃、事務所の社長以外にもうひとり人生のターニングポイントとなるような人物と出会っていた。その男は本番強要するような最悪な男。
しかし彼女からしたらただの客のひとりにすぎなかった。本番をしただけでもらえる金が増えるのだ。彼女は店には秘密で本番行為を繰り返していた。その男が彼女にドラッグを使用する快楽を教えたんだ。

そのドラッグは彼女にはじめだけは幸福と快楽を齎した。そう、はじめだけは…
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