君のためにできること
「最高だろ?」
僕たちは、ベッドでセックスをすることでさえ飽きていて、今は、彼女の自宅。新宿の夜景が広がる高層マンションの一室。35階に住む彼女の自宅だ。そこの玄関で二人になった瞬間に激しく求め合い僕は小柄な彼女をもちあげてそのまま彼女の中にはいっていった。実に気持ちがよかった。
「ああ…最高だな。」
彼女を僕と壁の間に挟んでそのまま突きあげるような体位で僕は答えた。
「ん…あっ…何も…かも…忘れて自由になれる…んっ…気がするだろ?」
彼女は僕の背中に腕を廻し、傷が付くんじゃないかってくらい爪を立てて激しい快楽を味わっていた。
「んあぁ…そう…だな…」
その気持ちには偽りはなかった。実に気持ちがいい、あの頃の僕は君といるのがとてもとても辛かった。その痛みを快楽で全てを消し去ってくれているかのようにも思えていた。
その後も、お互い衣服を全て脱ぎ棄て、僕たちは色々なところで繋がったり離れたりしていた。窓を全開にして、外からみえるようにして彼女と繋がったりもした。
彼女を支配した気分になっていたのかもしれない。
「んぁ…タケル…その…リズムでそのまま…突いて…ちょっと閃いた…まだ…イクなよ」
彼女は僕にバックで突かれながら、マジックを持って床に直接音符を書きだした。
たまに僕とのセックスで彼女の創作意欲もわくようだ。僕と彼女の肌が重なるリズムからメロディーを連想するそうだ。
直ぐにでもメロディーにしたい彼女は、こうやってどこにでも音階を書いてしまう。
「この…リズム…限界あるよ…まだだめ?…もうヤバイって…」
「あー…まだダメ!」
こんなやりとりがたまに行われる。その時のメロディーが世に出ているんだ。当事者としては、ほんと滑稽で笑ってしまう。
ただただ自由を快楽を求め、僕と彼女はお互いを激しく求め合ったんだ。自由の向こう側にはなにがあるのか…