君のためにできること
僕の躰は次第に覚醒剤に侵されていった。そんな時、友達として接していた君に苛立ち当たったりもしたね。その時はね、覚醒剤が切れていたんだ。
だから、苛立ちを隠すことができなかった。僕の怒りを君にぶつけるしかなかったんだ…

「だから、もう彼のことをあれこれ聞くの止めてくれ!」

「どうして…?」

君は哀しい瞳で僕を見つめる。そんな目で見つめてほしくなかった。

「彼のことはやっぱり彼にしかわからない。」

僕は、君を直視できずに足元をみながら当然のことを口にしたんだと気が付いた。そのことをわかった上で君は彼のことについて聞いてほしいがために僕に話をしていただけにすぎない。

君と彼のことについて話すのがとても辛いからだなんて言えるわけがなかったんだ。

「…そうだよね…ごめんね…」

「なんで君が謝るんだ!」

謝らないで欲しかった。悪いのは僕なのだから、なのに僕は激しく君を責めた。
あの時は君もどうすればいいかわからず、沈黙してしまったね。
僕はその沈黙にすら耐えることができなかった。

「ごめんね…わるいのは本当に僕だから…」

僕はそう言い放つと君から離れて行った。
彼との話をしなければ君とずっといたいと言う言葉は、口に出さなかった。
そのことがまたストレスに繋がり僕は苛立ち、そのうち頭痛も始まり、その耐え難いその痛みを止める為に僕は三度、ドラッグに手をだしていた。
蝕んでいく躰。
気付いてしまった僕はもう君に会うことを諦めてさえいた。このまま彼女と堕落していくほか無かったんだ。それなのに、彼女にすら会えなくなってしまっていた。
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