君のためにできること
唯一の救いだと思っていた彼女を失い、僕はその悲しみすら背負いさらにドラッグに蝕まれていく。更に自傷を続け、ただひたすらに誰かに…何かに救いを求めていた。
そして生きる気力さえ失いかけていたそんな僕に救いの手を差し延べてくれたのが君だった。

君は付きっ切りで僕の介抱に励んでくれた。それは僕にとってはもちろん君にとっても苦虫を噛み切るかの如く、苦しいものになった。

「どうしちゃったの…岳クン…?」

これが廃人と化した僕を初めてみた君の感想。
こんな廃人のような僕を君が誰よりも先に見つけてくれたんだよね。孤独に限界を感じていた時、君が僕を尋ねに来てくれた。今更だけどあれは運命だったんだって思ってもいいかな。

「馬鹿だよな…どうしても…どうしても…自分を抑えることができないんだ…」

僕の部屋から漂う異臭とゴミの山、其処ら中に散らばって黒く変色した僕の血。
そしてやせ細った僕。君は、想像も付かないような僕の現状を垣間見て、ただただ驚き留まってしまったよね。

君に隠すことを止めた僕は、君がみる目の前で淡々とクスリを打つ準備をし始めた。

「おねがい…もう止めて!」

君は、僕の無数の注射針の痕が残る腕から目をそらしながらそう怒鳴った。

「…止められるならとっくに止めてるよ…」

僕は、そう涙ながら言い、既に手慣れてしまった手つきでクスリを動脈に打ち込んでいく。
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