鋭い抱擁

「真美、知ってた?ここの裏道を通るとすぐ着くんだよ。」

陽は足が長いから歩くのが早い。だけど目的地も、途中の道も知らないから後を追うのが丁度良い。

「知らない。この道初めて。」

「そっか。まだ1年生だしね。」

私と話すときわざわざ体ごと振り返り、立ち止まって話してくれるのが新鮮だ。

人はこんな風にしっかり話をするんだね。


「あ、もうすぐだよ。」

「この道からだと本当にすぐだね。」

「だろう?見つけた時、驚いたよ。」

チラッと陽から視線をずらすと、公園が見えた。

この公園が思い出の場所なのかな。


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