鋭い抱擁

「よく、わからない。」

返す言葉が全く思い付かなかったから陽の元へゆっくり行き、素直に言った。今までで1番、自然と陽の目を見ることができた。

陽の目は"わからなくていい"と言ってるみたいで、眩しかった。

ブランコの隣でしゃがみこむ私を見下ろす陽は、薄い青と柔らかい雲が似合う太陽のよう。


私が近付ける人ではないかもしれない。でも、少しでも近づけたら…


今年の5月は、憂鬱とはまた違う気持ちでいっぱいになった。


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