鋭い抱擁
「…もう。好きなの食べていいよこれからは。」
陽の言葉が、私との未来を信じていることを示す。私は陽との未来をいつも疑っていたから、嬉しかった。
たとえ私を玲美と呼ばなくても、今、陽の側にいるのは"私"。
小さな独占欲が牙を剥いたことに気づく。
この独占欲がいつか私を支配し蝕んでしまうとしても、もう今更寂しくてつまらない日常に帰れない。
陽の彩り豊かな笑顔を前に、幸せを感じた。
「何その嬉しそうな顔。そんなにハンバーグ定食おいしかったの?」
「うん。」
ねぇ陽、いつか私を"玲美"と呼んでね。
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