鋭い抱擁
知り合いも友達もいないから、ワイワイ楽しそうな生徒達で溢れかえる食堂は、本当に居心地が悪い。
今日は特に多く感じて入り口の前まで来たものの、後退りしてから立ち尽くしてしまった。
そうしていると、声をかけられたんだ。
「ほら、真美だ。」
さっきから私を真美と呼ぶけれど、私は玲美という名前で生きてきた。
こんなことは初めての経験だから、私は何も言い返すことができなかった。それに、目を反らすこともできなかった。
「ここに入学したんだね。気づかなかったよ。」
小型犬のような顔。身長は180ぐらいありそうなのに、細く頼りない体つき。
黒ブチ眼鏡と、ピンクブラウンの髪にフワフワのパーマ。
どこか落ち着いた余裕な表情から、3年と予想した。俯いてスリッパの色を確かめると、やっぱり3年だった。
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