鋭い抱擁

それはそうだなと思って私は笑いそうになった。

「私はね、陽……」

陽は待ってくれた。思えば私はこんな風に誰かに待ってもらったことがあっただろうか。

いつも誰も私に興味なくて、私も誰のことも興味なくて、言葉を交わすことなんて全然なかった。

陽と出会って、話して、笑って…全部勘違いで。

こんなことってないよ。神様はきっと私を否定してるの。陽も、否定するかな…。


「初めまして、私、安藤玲美と申します。」




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