鋭い抱擁
私は一人で立っていたはずなのに急に視界が真っ暗になって、暖かく柔らかい感触が私を包んだ。
夢かと思った。きっと今、陽が抱き締めてくれている。
ムシムシうっとうしい空気も、今は身を引き、私の世界が爽やかになる。
私は自分が思う以上に、陽を求めていたんだ。怖いなぁ、独占欲が私をむしばんでいたなんて。
「真美とは友達だった。」
陽が話し始めた。
「長い間会ってなかった。君を見つけた時、直感で真美だと思ったよ。でも俺が知ってる真美じゃなくて驚いた。でも何もかも新鮮で、何もかも楽しくて、知らない間に俺は…」
陽が抱き締める力を弱め、私を自由にする。恐る恐る陽の目を見ると、陽は私を愛しそうに見下ろしていた。
幸せが身体中を巡る。
「玲美、君を好きになってた。」
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