鋭い抱擁

「ごぢぞーざま…ふぅ…さ、さぁ行こう。」

「行こうって、どこへ?」

必死に苦しさに耐える陽がおかしくて笑いそうになったけど、どこに行くか見当がつかないから、急に不安になってきた。

「昼の授業はサボって、思い出の場所に行こう。」


思い出なんて、知らないのに。私にはないのに。

「あれ…嫌かな?」

「嫌じゃない、行こう。」

こうやって陽が私を愛しそうに見つめるから、断れるわけないよ。



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