鋭い抱擁

思い出の場所に行ったら、普通は思い出話をするんだろう。

あの時あんなことがあったよね、そうだね、それでこんなこともあって、そうそう、ははは…

なんて言い合うんだろう。私はそれを上手くやれる自信がない。陽の優しい目が"私"を見てしまったら、陽とは一緒にいられない。


「真美!早く行こう?」

「あ、うん、わかった。」

大丈夫。



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