小悪魔れんあい
「ま、どうするかは、麗奈次第だけどね」
「…どうすればいいの~?…」
ぼ~っとしながら見ていると、下から女の子達の歓声が聞こえた。
叫心がシュートを決めたのだ。
「叫心カッコイイー!!!」
思わずあたしも黙っていられず、声をあげて叫んでいた。
隣で、あたしの声にびっくりした愛があたしの服の裾を思い切り引っ張る。
「こ、こら!静かにしてって」
「きゃ、やばっ!」
下からの視線を感じて、あたしは床にしゃがんで隠れる。
「バレたら、あたしまでファンだと思われるじゃん」
「ごめ~んっ!」
「ま、今日は彼氏との約束あるし、許してあげる!」
「ありがと…って…え!?」
「もう帰るんですか!?」
「イエスっ!」
愛は上機嫌で頷く。
あたし、一人になっちゃうの~?
「毎日毎日付き合ってんだから、1日くらいいいでしょ?」
う…、確かに…!
それはかなり悪いと思ってるんです、あたしなりに…。
「また明日も付き合ってあげるから。じゃね」
愛はあたしに手を振りながら、教室を出て行った。
…まあ、しょうがないよね。
愛の彼氏は大学生で忙しいからなかなか会えないし、会える時に会わなきゃね…!
よお~し、あたしも静かに叫心観察しなきゃっ!!
…って何だかストーカーみたいだけど…。それが何だ!好きなら本気で追いかけなきゃだめだよね!
あたしは椅子に座り直して、再びグランドを見下ろした。