小悪魔れんあい



叫心への応援に夢中になっているといつの間にか日も暮れて、辺りはだんだんと薄暗くなってきた。

グランドにはサッカー部の練習の終わりを告げる挨拶が聞こえる。



あたしは今日もいつも通り、叫心だけを目で追ってた。

まるで自分が叫心の近くにいるかのように喜んで
一人でいるのを忘れるくらい、応援していた。



「あ~あ。今日も1日終わっちゃった」

叫心を好きになり始めてから、何故か時間が過ぎるのが早い気がしていた。

だけど、毎日毎日充実していてすごく楽しい。両思いになることもすごく幸せだけど、こうやって片思いで相手のことを毎日考えることも、すごく幸せだなって思える。


サッカー部の練習が終わると、応援していた女子は帰り始め、部員達も部室に戻って着替えを始めて、帰りだす。

そんな中、あたしは一人みんなが帰るのを待たなければならなかった。

もし今出てしまうと、誰かに見られたりしたら、秘密がバレてしまうし、
もちろん叫心に見られたりなんかしたら絶対怒られる。


だから、あえてあたしは一番最後に学校を出る。



今日もそのハズだった。

だけど、いつものようにみんなが帰るのを待っていると…




「お前、バレバレなんだよ…」



と背後からため息混じりの、愛しい愛しいあの人の声が聞こえた。



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