小悪魔れんあい


「きょ…叫心…!」

「…遅くなって…ごめん」

叫心は急いできてくれたのか、少し制服が乱れていた。





「…お、お疲れさま!」



叫心にかけよろうとしたら、叫心はあたしに一歩近付いた。


「…暁羅…?何でいるんだ?」


叫心は暁羅をまっすぐに見据えてそう呟く。





「…何してた?」



叫心のその言葉にドキッとする。

まだ、暁羅の感触が体に残っている。
叫心に対する罪悪感が募っていく…。







「き、叫心!また暁羅があたし達のをからかいにきてたの!」


あたしは自分の罪を隠すかのように叫心に抱きついた。


「は?!な、何それ!」


「ほんとムカつくでしょー!?さっきまで言い合いしてたの!」


あたしがそう言うと、叫心は安心したように優しく笑って…


"そっか"



と言った。






「…早く帰ろ?」

「…そうだな!」


あたしは叫心の背中を押して、暁羅の方に振り向かずに教室を出るように促した。








暁羅の顔なんて、見たくない。


暁羅なんてしらない。
あたしは叫心だけが、大好きなの。



叫心への罪悪感はさっきより募っていく。










教室を出る直前に、暁羅から


小さな舌打ちが聞こえた。


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