小悪魔れんあい





「…言わなきゃいいじゃん」

「何で?…あたし、叫心には嘘つきたくない…」

あっさりと簡単にそう言う愛にあたしは不満に思う。



「まぁね~。そう思うのはしょうがないよ。彼氏だもんね。…でもさ、」

「?」

愛は続ける。



「嘘つく事も悪い事だけど、麗奈は笹岡を傷つけたいの?」

「そ、そんなわけないよ!!」

「そうでしょ?あたしはね、時には必要な嘘だってあると思うの」

「必要な嘘?」

「うん。たとえば麗奈は笹岡を守るためには何だってするでしょ?」

「うん…」

「それなら、麗奈が言ってお互い気まずくなるんなら、言わないまま今の仲良しな状態が続く方がいいんじゃないかな?」

「でも、隠すんだよ?」

「あたしは言ったことで相手が傷つくんなら、言わない事で自分だけが傷ついたままでいいけどな。」



そして愛は"でも、麗奈が決めることだからね"と付け加えた。




言わないことで相手は傷つかない…。



そうだよ。
あたしは叫心さえ良いなら、あたしも良いんだ。



今さら何考えてんだろ…。
こんなこと迷うことじゃなかったことなのに…。



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