小悪魔れんあい
あの後、叫心は走って部室へ向かった。
ついていくと言ったんだけど、思いきり拒否られちゃったんだ。
叫心ったら照れ屋さんなんだから!
…というわけで、玄関で待ち合わせになった。
なななな何と!
叫心に送ってもらえる事になったんだー!
何か結構いい感じかも…!?
だってさ!さっき抱きついたときも、あんまり激しく怒らなかったし。やっぱり、…と思うと顔が自然とニヤけてしまう。
あたしは高鳴る胸を更に弾ませながら、叫心を待った。
「よお、麗奈!」
突如、あたしは予想していた声とは違う声に呼ばれ、後ろを振り返った。
「暁羅!」
そこにいたのは何ヵ月か前に付き合っていた、佐野暁羅だった。
そして隣にはもう彼女が出来たのか、可愛らしい女の子が暁羅の腕を掴んでいた。
やっぱり、タラシ。別れて正解だったな。
「誰か待ってんの?」
「別にっ」
暁羅とは付き合っていた時の思い出が良くない。
暁羅は女好きで、あたしと付き合っていながら、色んな女の子と遊んだりしていた。
そんな暁羅に嫌気がさし、あたしは自分から暁羅を振った。
「この前まで付き合ってたっつ~のに、何か冷たくね?」
「知らないっ」
あたしは、暁羅の事ちゃんと好きだったのに暁羅は遊び。
あのときのあたしはどうかしてたかもしれない。だけど、真剣に付き合ってた。暁羅もそうだと信じていたのに。
裏切られた代償は大きい。
あたしの中で暁羅は嫌いな人物に変わっていた。