小悪魔れんあい






「叫心~?」


「ね~ね~」


「きょ~しんっ?」



叫心はさっきからあたしの呼びかけを全て無視している。

何か考え込んでいるようにも見える。
そして歩く速度も何故かすっごく速い。


「叫心ってばっ!」

思いきって、服の裾を引っ張る。


「あ…。ごめん、何?」

我に返ったように、叫心は喋る。


「叫心具合悪いの~?」

「何で?」

「さっきからあたしの事無視だもん」

「!、…ごめん…。考え事してた…」

頭をクシャクシャしながら、叫心は申し訳なさそうに謝った。


「本当に?疲れてるなら早く言ってね!あたしがおんぶしてあげるからっ!」

「ぷっ…普通反対だろ?」


あたしの言葉に叫心はやっと反応してくれた。


さっきまでのあの無視されていた時間が永遠に近く感じるほど長かった。

でも、もう叫心が反応してくれたからそんなの関係ない!こうして、また照れくさそうに笑う叫心の顔を見れることがすごく嬉しい。


そしてあたしに笑顔を見せてくれる叫心は、誰よりも綺麗で、誰よりもカッコイイ。

やっぱりあたし…叫心が大好きなんだよ…
この気持ちは絶対にウソなんかじゃない。本気なんだ。




改めてそう実感した。




「けど、病気とかじゃねえから…」


まだ心配そうに見つめていると、叫心はあたしの頭を軽く叩いて再び歩き始めた。



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