小悪魔れんあい
やっと歩く速さも同じになって、あたしと叫心は並んで歩く事が出来た。
ちょっと照れるかも。
だって、隣に並んで歩くなんて初めてのことだし…なによりも叫心の隣だから。
…余計に緊張する。
「お前毎日あの教室にいたわけ?」
ちょっと続いた沈黙を破ったのは叫心だった。
「うん!ちゃんと毎日叫心の事見てたよっ」
叫心の目の前でVサイン。
ちゃんと叫心だけっていうのを、アピールしとかなきゃねっ!!
「…ふ~ん…」
叫心は興味無さげに、前を向く。
こ、これじゃ、会話が続かないよ~…。
あたしは頭の中で、あれこれ話題を探した。
そしてひとつの話題にたどり着いた。
ま、機会があれば言わなきゃ!と考えていたことでもあるし。
言うなら、今!みたいなね。
「ね、叫心っ!あたしマネージャーしてもいい?」
「はあ!?」
あたしの突然の提案に、叫心はもちろん驚く。
だけど、あたしはそんなのお構いなしに話しを続ける。
「マネージャーになったら近くで叫心の事応援できるし、タオルだってすぐ渡せるしっ!」
「却下。絶対反対!」
叫心の答えは即答だった。
「何でよ~!」
あたしは叫心にしがみつき、駄々をこねた。
「マネージャーだけはやめろって。…けど…」
すると叫心は照れくさそうにあたしから目をそらす。
「何なにっ??」
目を輝かせながら叫心の顔を覗き込むようにみると
叫心は微かに小声で
「…グランドに…いたらいいじゃん…」
確かにそう言った。