小悪魔れんあい
「けど、叫心も最低だなー…」
しばらく玲さんとの会話を楽しんでいると、玲さんは怒ったようにそう言いながら、口をとんがらせた。
「え、叫心がですか!?」
「そうだよー!麗奈ちゃんに、こんなに不安にさせて!」
「最低ったら、ありゃしない!」と玲さんは加えて、頬をプゥっと膨らませる。
「いや、あたしが勝手に不安になってただけなんで…。ほんと、気にしないでください!」
「ダメダメ!女の子を不安にさせる叫心なんて最低!」
と、あえて男の子といおうとしたところを、叫心に置き換えて怒る玲さん。
きっと、玲さんと付き合う女の子は大切にされるんだろうなぁ…と感じる。
だって、叫心の彼女のあたしをここまで心配してくれるのも、玲さんくらいかもしれない。
もちろん、愛だって長塚さんだってあたしのことを心配してくれてるけど、玲さんの心配はまた、ちょっと違うような気がする。
何でも相談できる。なんか、そんなオーラが漂ってる。
「でもさ、麗奈ちゃん」
「はい?」
またコーヒーを口に運びながら、玲さんはあたしに問いかける。
「俺だったら…、絶対麗奈ちゃんのこと不安にさせないよ?」
「!?」
突然、自分が思っていたことを玲さんにあっさりと言われて、びっくりした。
「え、え…?」
「だから、俺にしちゃうっ?」
「ええー!?」
と、これは想像していなかったのでさらにびっくり。あたしはここが喫茶店だと忘れて、少し大きめの声でびっくりしてしまった。
「なーんてねー!ウソ、ウソだよー!!」
あたしの驚いた顔を見て、玲さんはキャハハと笑った。
…、何だ。からかってたのか。ってそうだよね、そうじゃなきゃおかしいよね!
「も、やだなー、玲さんってば…!」
と、あたしも気持ちを切り替えて玲さんの冗談を一緒に笑った。