小悪魔れんあい

別に真実に急かされていないのに、何故か急かされたようになってる。


俺は、もう超特急で着替えてみんなが部室へ戻ってくる前に部室を出ることが出来た。


「ね、一緒に帰ろーよ!」

「は!?」


なんだ、このワガママ娘は!
いや、昔っから真実はワガママだったけど…ワガママは全部兄貴が受け持ってたから…。

こんなにとは、気付かなかった。


「マジで言ってる…?」

「だって、あたし一人じゃ襲われちゃうかもしれないでしょ?」


別に、襲われたら?
…とは死んでも言えない。それに、確かに真実は女の子だし。


だからといって、一緒に帰る…というのには抵抗がある。だって、俺は麗奈の彼氏なのだから。

もし、今この瞬間を週刊誌にでも撮られたらどうすんだー!って、そんなのありえないけど。

いや、そうでなくても。もし、学校の奴らが見ればたちまち明日、学校でネタにされてしまう。



「俺、何回も言っただろ?彼女いるって」

「もうそれは分かったからー!お願い!帰るだけ!抱いてとか言わないからー!」

「……ったく…。分かった!分かりました!」


俺はあんまりにも真実がしつこく付きまとってくるので、渋々一緒に帰ることを承諾した。



「きゃー、やっぱ叫心優しいね!紳士だね!」

「うっせー!ほめたって、何もでねぇ」

「クールになったねー!ほんとは、ツンデレなだけだったのにね!」


隣でぺちゃくちゃ。コイツは、プライバシーってもんを知らないのか!

俺の過去を、大声で話している。もしかしたら、この周辺で麗奈が俺を待ってて、聞かれたらどうしてくれるんだよー!



「ていうか、お前ん家…どこなの?」

コイツは、昔から何回も日本と海外を行き来しているから、頻繁に家の場所が変わっている。


だから、今回もきっと前の場所とは違うはず。



「えーとね!学校のすぐ隣なんだけどねー」

「は!?」



なにそれ!じゃあ、もう着いちゃってんの!?
俺、送る意味あったわけー?




と、一人突っ込んでいる間に。
本当に、真実の家がすぐ見え始めた。




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