小悪魔れんあい


「ごめんね!叫心が前のままのあの優しい叫心か試したかったの!」

「…あそ。で、結果は?」

「超優しいー!」

「それならよし!」


俺は玄関で大きく手を振る真実に、また明日と告げて、そのまま自分の家に向かって足を進めた。









「ただいまー…」



ようやく自分の家に着き、俺は靴を脱ぐ。
そして自分の部屋に荷物を置き、部屋着に着替えてからすぐさまリビングへと向かった。



「あ、叫心おかえり」


リビングでは、ご飯を食べながらテレビを見ている兄貴がいた。


「ただいま」


冷蔵庫から飲み物を取り出し、コップに注いでから一気に飲み干す。

なんか、喉に潤いが戻ったって感じ。



そして、もう一度携帯を取り出してみるが。
麗奈からのメールはない。


「あ、そうそう!きょうちゃん?」

「なんだ、そのあだ名!」

「えへ。じゃあ何がいい?」

「別にいらないから!で、何?」


俺の反応がつまらなかったらしくて、兄貴はぶーッと頬を膨らましながら俺を睨んだ。



「真実、帰ってきたらしいね」

「おー。いきなりだったから、びっくりしたよ…って」



え!?お兄さん、それ誰から聞いたの?


と、いう俺の疑問が兄貴に読み取られたらしく。


「麗奈ちゃんから、聞いたもんねー!」


と、言われた。
舌を出しながら、可愛く言ったつもりだろうが。あんまり可愛くなかった。


< 173 / 231 >

この作品をシェア

pagetop