小悪魔れんあい
「ごめんね!叫心が前のままのあの優しい叫心か試したかったの!」
「…あそ。で、結果は?」
「超優しいー!」
「それならよし!」
俺は玄関で大きく手を振る真実に、また明日と告げて、そのまま自分の家に向かって足を進めた。
「ただいまー…」
ようやく自分の家に着き、俺は靴を脱ぐ。
そして自分の部屋に荷物を置き、部屋着に着替えてからすぐさまリビングへと向かった。
「あ、叫心おかえり」
リビングでは、ご飯を食べながらテレビを見ている兄貴がいた。
「ただいま」
冷蔵庫から飲み物を取り出し、コップに注いでから一気に飲み干す。
なんか、喉に潤いが戻ったって感じ。
そして、もう一度携帯を取り出してみるが。
麗奈からのメールはない。
「あ、そうそう!きょうちゃん?」
「なんだ、そのあだ名!」
「えへ。じゃあ何がいい?」
「別にいらないから!で、何?」
俺の反応がつまらなかったらしくて、兄貴はぶーッと頬を膨らましながら俺を睨んだ。
「真実、帰ってきたらしいね」
「おー。いきなりだったから、びっくりしたよ…って」
え!?お兄さん、それ誰から聞いたの?
と、いう俺の疑問が兄貴に読み取られたらしく。
「麗奈ちゃんから、聞いたもんねー!」
と、言われた。
舌を出しながら、可愛く言ったつもりだろうが。あんまり可愛くなかった。