小悪魔れんあい
翌日。
せっかく昨日は麗奈にメールを送ろうと思っていたのだけれど、俺ってばよっぽど疲れていたのだろうか。
昨日の夜、部屋に入ってからの記憶が全くない。起きたら、ベッドの上だった。
そして、麗奈に連絡することができないまま学校へと登校してきてしまった。
「きょーしん、おっはよ!」
「!、って真実か…」
俺はてっきり挨拶してきたのが麗奈だと思い込んでいたので、その姿が真実だと分かると、思い切り深いため息を零してしまった。
「なに、その残念そうな顔!」
「ごめんごめん、おはよ」
「あっれー?昨日あたしに散々自慢してた彼女はぁ?」
…憎たらしい言い方だ。
「…いつか登校するつもり!」
近いうちに!必ず実現させてみせる!
と、俺は一人気合いを入れるためのガッツポーズをとる。
それを、寒い目で真実に見つめられる。
「…、あ!」
そんな俺のガッツポーズが神様の涙を誘ったのだろうか。
目の前に、天使が舞い降りてきてくれたかのように麗奈の姿が見えた。
「れ、麗奈っ!」
大慌てで俺は麗奈に駆け寄り、挨拶をする。
「あ、叫心!!」
「お、はよっ!」
「おはよっ!」
朝から麗奈の笑顔!
やっばいなー。可愛すぎるだろ!
「あ、叫心…?」
「ん?」
「昨日は…ごめんね?勝手に帰ったりして…」
「…そ、そんなの大丈夫だって!こうして無事なら」
俺がそういうと、麗奈の表情はぱっと明るくなった。麗奈の表情が明るいと、俺も嬉しくなる。
麗奈の一喜一憂を俺が左右しているのかと思うと、もうそれだけで麗奈が自分の物だと実感できて嬉しすぎる。
「また、昼にそっち行くからな!」
「うん!待ってるね!」
俺は、麗奈に手を大きく振りながら自分の教室へと向かった。