小悪魔れんあい


ということは。
真実の一言で、当たり前のあったモノがなくなる…ということもありえるわけで。

だから、雄大はこんなにも真実に下手に出ているのだ。



「叫心!」

「は、はいっ!」


ボーっとしながら真実と雄大のやり取りを見ていると、真実が急に俺の耳を掴んで大きな声で呼んだ。

突然の大声だったので、思わず返事が敬語に!


「じゃあ今日は三人で食べようよ!」

「ちなみに、メンバーは?」

「あたしと叫心と雄大!」

「却下」


自分の提案が速攻却下されたことで、真実はぶうっと怒る。

だけど、却下するだろ。その気味悪いメンバー編成は!


「真実、俺も長塚と食べなきゃダメなんだって…」

と、雄大も必死にお願いしてる。
きっと、長塚も長塚で雄大とご飯を食べないと、かなり怖いのだろう。

雄大の必死さが、額に滲み出る汗でよく分かる。


「じゃあ、理恵ちゃんも入れて4人でいいじゃん!」

「え!?いや、俺はいいけどっ…」


雄大は、コクコク…と納得しながらも横目でチラッと俺を見つめる。



…なんで?
何でそこであえて麗奈を無視するわけ!?


俺の頭の中には、ハテナマークがたくさん浮かんでくる。その謎は、きっと一生解けなさそうだ。


「じゃあ、真実。お前雄大と長塚と3人で食べろよ」

「はぁ!?どうして叫心は一緒じゃないのー!?」

「当たり前だろ?俺は麗奈と食べるから」

「何それ!昨日はあたしと食べたじゃんか!」

「昨日は昨日!今日は今日!」



自分の思い通りにいかないことが、そんなにいやなのか。真実は、教室中に聞こえるような大声で、俺に向かって叫び始めた。


< 178 / 231 >

この作品をシェア

pagetop