小悪魔れんあい
ということは。
真実の一言で、当たり前のあったモノがなくなる…ということもありえるわけで。
だから、雄大はこんなにも真実に下手に出ているのだ。
「叫心!」
「は、はいっ!」
ボーっとしながら真実と雄大のやり取りを見ていると、真実が急に俺の耳を掴んで大きな声で呼んだ。
突然の大声だったので、思わず返事が敬語に!
「じゃあ今日は三人で食べようよ!」
「ちなみに、メンバーは?」
「あたしと叫心と雄大!」
「却下」
自分の提案が速攻却下されたことで、真実はぶうっと怒る。
だけど、却下するだろ。その気味悪いメンバー編成は!
「真実、俺も長塚と食べなきゃダメなんだって…」
と、雄大も必死にお願いしてる。
きっと、長塚も長塚で雄大とご飯を食べないと、かなり怖いのだろう。
雄大の必死さが、額に滲み出る汗でよく分かる。
「じゃあ、理恵ちゃんも入れて4人でいいじゃん!」
「え!?いや、俺はいいけどっ…」
雄大は、コクコク…と納得しながらも横目でチラッと俺を見つめる。
…なんで?
何でそこであえて麗奈を無視するわけ!?
俺の頭の中には、ハテナマークがたくさん浮かんでくる。その謎は、きっと一生解けなさそうだ。
「じゃあ、真実。お前雄大と長塚と3人で食べろよ」
「はぁ!?どうして叫心は一緒じゃないのー!?」
「当たり前だろ?俺は麗奈と食べるから」
「何それ!昨日はあたしと食べたじゃんか!」
「昨日は昨日!今日は今日!」
自分の思い通りにいかないことが、そんなにいやなのか。真実は、教室中に聞こえるような大声で、俺に向かって叫び始めた。