小悪魔れんあい
そして、とうとう迎えてしまったお昼の時間。
あたしはお弁当と片手に、ドキドキと心臓を高鳴らせながら叫心の教室まで向かう。
「れ、…麗奈っ!」
向かっている最中に、聞き覚えのある声に呼び止められた。
「…暁羅…」
「よッ…」
そこに立っていたのは、もうきっと話しかけてくれないかもしれない…と思っていた、暁羅だった。
暁羅は、照れくさそうに鼻を擦りながらあたしの方へと駆け寄ってきた。
「バスケ…以来?」
「…うん。そうだね」
「叫心と…仲良くしてるか?」
暁羅からの意外すぎる言葉に、あたしは言葉を詰まらせた。
だけど、すぐにその答えは出そうにない。
「…な、かよくやってるに決まってるじゃんかっ!」
「はは、そっか…!」
冗談っぽく笑いながら、あたしは暁羅の腕を軽く叩く。
暁羅も暁羅で、いつもみたいなあの親しみのある笑顔で笑ってくれた。
暁羅とはあのバスケの試合以来全く喋っていなかったのだけど、またこんな風に喋れる日が来るなんて思ってもいなかった。
だから、余計それが嬉しくて。
あたしは、すこし心を躍らせてしまった。
「弁当か?ゆっくり食えよなー」
「当たり前でしょ!欲しいって言ったって、あげないからー」
「いらねっ!俺のママさんのお弁当食べるからー」
軽く冗談を飛ばしあいながら、あたしと暁羅はそのまま別れた。