小悪魔れんあい
麗奈ーっ」
叫心の教室に近づくと、すぐそこまで叫心が迎えにきてくれていた。
「ごめん、遅れてっ…」
「いいって!気にするなよなー」
「ありがと!」
と、このまま二人で食べられたらどんなに幸せだろうか。
だけど、上手く行かないのがまたそれも人生。
あたしは叫心に、真実さんや小林君、そして長塚さんが座っている席に案内された。
「叫心ー!真実の隣に座って!」
あたしがついて速攻、真実さんはしかめっ面な顔をしてあたしを睨むと、そう叫んだ。
「はぁ?お前、約束しただろーが。俺の隣は麗奈だって」
「そんな約束聞いてないもーん」
「聞いてないとしても、俺は嫌だっての!」
プンプンする真美さんに向かって、叫心はため息をつきながらも、あたしの隣にさりげなく座ってくれた。
ちょっと、ジーンってきちゃった。
やっぱ、叫心のこういうところ…大好きだなあ。
「叫心最低ー!」
「そうですかー。どうもー」
「……っ!!」
真実さんはきっと叫心に構ってほしいのか。さっきから気を引かそうとして、ワザと悪口を言ったりしている。
だけど、軽く流す叫心にさらに腹を立てているみたいだ。
少し、場の空気が緊迫した雰囲気に包まれていく。