小悪魔れんあい
「あ、そうだ!麗奈」
まだぷぅ…と頬を膨らませてる真実さんをよそに、叫心はあたしの方を向いて話しかけてきてくれた。
「また場所とか時間とか教えるからさ。…応援、来てくれる?」
照れくさそうに話す叫心。
やだなぁ。そんなこと言われなくったって、もともと行くつもりだったもん。
叫心が出る、出ないに関わらず、あたしはいつもいつでも叫心を応援していたいんだもん。
「もちろん、行くよ!ちゃんと差し入れもね!」
あたしは叫心にまず笑ってそう言って、小林君と長塚さんにも目で合図を送った。
すると、それを黙って聞いてた真実さんが突如勢いよく立ち上がった。
「真実、…ぜんっぜん面白くない!ムカつく、ムカつく!」
ガチャンっ、と床においていたお弁当を倒して、行き先を告げずにどこかへと去っていく。
その姿を見て、叫心は一つため息を零した。
「ごめんな。ワガママな奴で…」
そう言って、申し訳なさそうにあたし達に頭を下げると、叫心は「空気読めよ…!」と、真美さんの後姿を見つめながら小さく呟く。
「あ、あたし達もそろそろ行く!?ほ、ほら!授業もうすぐ始まっちゃうし?」
その場の空気が尋常でなくなったことをすばやく察知し、長塚さんはあたしを見ながらそう提案した。
「あ、そうだね。そうしよっか!」
あたしも長塚さんの提案に頷き、すぐさま自分の目の前に広がっているお弁当箱を片付ける。
「ごめん、ほんとごめんな…」
「いいの、気にしないで?早く真実さんの後追ってあげて…?」
「……、ごめん、ごめんな」
叫心はあたしの目をみつめ、そう一言謝るとすぐさま真実さんの後を追っていった。
そして、小林君も長塚さんに「あんたも追いかけなさいよ!」と急かされ、大慌てで後を追いかけていった。