小悪魔れんあい
「あ、」
靴を履き替えるために玄関に寄ると、ちょうど靴を履き替え終わった真実さんと出会った。
「真実さんっ…、も今から部活?」
精一杯今の自分の気持ちを悟られないように笑顔を作る。
「そうなのー!」
「あ、でも叫心は先生に呼び出されてて、遅れるって言ってたな~」と、付け加えた真実さん。
きっと、あたしが叫心は?と聞こうとしたのが分かったに違いない。
「ねぇねぇ」
珍しいことに、真実さんからあたしに話しかけてきた。
「…?」
「あたし達ってさぁ、なかなか話す機会ないよね」
「…あ、うん」
ないというか、真実さんがあたしを避けてたんじゃ。
だけど、真実さんは今まで何にもなかったかのように話を進めていく。
「今から話そうよ!ちょうど、叫心も遅れてくることだし!」
「え、あ…え!?」
い、今から…!?
と、返事に困ってるあたしをほって真実さんはあたしの腕を掴んで、スタスタと連れて行く。
どこへ行くのか、あたしにその行き先を告げずに。