小悪魔れんあい
真実さんの表情は、もう感情を物語っている。あたしを嫌いだと、憎んでいると、そう伝えてくる。
そして、ここへきたことを激しく後悔した。分かってたはずなのに、ちょっと期待をしたあたしが馬鹿だったんだ。
もしかしたら、真実さんがあたしを嫌ってるなんて思い過ごしなのかもしれない。勘違いだった、思い込みすぎてた、そう思ってしまったあたしが馬鹿だったんだ。
「ま、みさん?」
「あなた、分かってるんでしょ?あたしと叫心がどんな関係か」
「…どんなって、あたしは幼馴染だって聞きました」
「幼馴染?、はっ…能天気ね」
彼女のその言いようにすこしムッとした。
だけど、ここで怒っちゃ負けだ。絶対、怒らないようにあたしは彼女の言葉を待った。
「あたしと叫心がそんな普通の関係なわけがないでしょ?」
「…え?」
「あなたは彼女だろうけど、それもいつか終わる」
静かな部屋に、真実さんの声だけタン…と響き渡る。その声が、音が、全てがたまらなく辛い。
悔しくて、悲しくて。だけど、どうしようもできなくて。
「いつか終わるって、そんなことっ…」
「あるのよ。叫心は今付き合ってあげてるだけ」
「…っ…!」
「最後のときまでラブラブしてればいいじゃない」
真実さんはそれだけ呟き、あたしの肩をポンっと一叩きしにっこり微笑みながら、部屋を退室した。
ポタっ……と、地面に染みができた。
ポタポタポタっと、それは止むことなく。ぎゅっと唇を噛み締めると、鉄の味がした。
ぎゅっと手を握り締めると、叫心の温もりを思い出した…。