小悪魔れんあい
第16話 叫心side
全国大会への予選まであと数日…と迫ってきていた。
俺らサッカー部はみんな順調に練習に励んでいたし、今のとこ怪我も病気も誰もしていない。
これなら予選で勝って、全国ではいい成績を残せそうだ。
「おい、叫心!」
雄大に呼ばれて、俺はボールを蹴っていた足をとめて振り返る。
「スタメン決めるから、集合だってさ」
「おう、分かった」
俺はボールをゴールの方に寄せ、そのまま雄大の後をついていくようにミーティングルームへと向かった。
ミーティングルームに着くと、みんなはもう到着していて、何故かその中心部分には真実の姿もあった。
「お、い!」
「あ、叫心おそーい!」
「うるせ!ていうか、何でお前がここにいるんだよ?」
「えー?」
俺はワザとらしく首を傾げる真実に聞いても無駄だと分かり、目線を長塚に向けた。
すると、長塚は気まずそうに笑って。
「そ、れがさ…」
ポツリと、話し始めた。
「え、?ま…みもでる!?」
俺がすっとんきょーな声をだして長塚を見ると、長塚はコクンとうなずいた。
「ちょ、待てって!こいつ…女だぜ?」
「うるさいなー!性差別するなー!」
と、まぁうるさい真実はほっといて。
「いやいや、性差別とかの前に規則があるだろ!」
そうだよ、いくら真実が上手だからと言って。それを大会のルールが許すはずがない。
いや、反則負けとかにでもなったらどうすんだ!
「あ、だから…真実さんには男装してもらって…」
「だ、んそう……?」
唖然として真実の方を振り返ると、真実は「そうなのー!」なんて言って笑いながらピースサインをしていた。