小悪魔れんあい
ミーティングも無事終わって、部員はそれぞれ練習に戻るためにグランドへと向かっていった。
そして、残った俺と真実。
「おい、真実」
「えへ、なんでしょー」
「お前何考えてるんだ」
「特に何も?」
あぁ!もう!
こいつ…ほんっとにむかつくとこは昔と何一つ変わってないな!
「お前出れるわけないだろ、試合に!」
「もうスタメンで決まったじゃん」
「そうだけど!今からでも遅くないから取り消せ!」
「叫心?あんま怒ったら彼女に嫌われちゃうんじゃないのー?」
グサっと、その真実の一言が俺の胸に突き刺さる。
コイツは、今そんなこと話してないのに…!すぐ話しを変えるとことかも、本当に全く変わっていない!
「とにかく!あたしは出るの!」
「とにかくじゃない!出ない!」
「うるさいなー!出たら確実全国いけるよ?」
俺は真美の言葉に、喉まで出かけた言葉をグッと押し込めた。
それは、本当のことだからだ。
真実はどの部員よりも、下手したら俺よりも。はるかにサッカーの技術は上回っている。
だから、コイツが試合にでれば勝ちはまず間違いない。
だけど、だからといって。
いいのか?それで。
たしかに、勝ちたい。予選は、勝ちたいんだ。
でも、…。
と、心の何かが俺を引き止める。
「叫心?もう何言ったって聞かないからね!」
「……お、おい…!」
俺の呼びとめも虚しく、真実は足早にグランドへと走っていった。