小悪魔れんあい
あーあ、俺やっちゃった。
真実にあんなキツイ口調で、あんな言葉。
今まで一回も言ったことなかったのに。言ってしまった。
だけど、それほど俺は麗奈を守りたかった。そういうこと。
それを少しでも、真実に伝えたくて言ったていうのもちょっとある。
でも、そのほとんどがイライラからきたんだけど。
「学校、行けなくなるかも」
真実の家は、まさに勝ち組。
俺みたいなごく普通の家の人間を潰すことなんて容易くて。今まで真実の側でいて生きてこられたのも、真実の機嫌がよかったからに違いない。
すこしでも機嫌を損ねると真実は、すぐにでもソイツを潰したがるから。
いいや、確実に潰すんだ。
その相手が次は俺になるだけ。
覚悟してたことだけど、やっぱり恐いな。
「きょ、叫心っ…!!」
家に帰る用意をしながら服を着替えているときだった。
雄大が、勢いよく部室へと入ってきた。
「雄大…さっきは、ごめん」
「いや、そ…そんなことより…さ!」
なにやら、雄大の様子がソワソワしている。
「なんだよ」
「真実がさ、なんか思いついたように学校から出て行ったんだ。…ちょっと俺…嫌な予感がして」
「嫌な予感?…たぶん俺を潰す方法でも思いついたんじゃねぇのか?」
「叫心を潰す!?さすがの真実でも叫心には手をださないだろ…」
「アイツは何するか、わかんねぇからな…」
それに俺以外に潰す標的はいないはずだ。
きっと容赦なく俺を潰しに来る、そのはずだ。