小悪魔れんあい
「とりあえずさ、俺に頼れなくなった今次に頼るのは多分雄大だと思うんだ」
「……」
雄大はぞっと顔を青ざめさせた。
機嫌のいい真実は好かれるが、やはり機嫌を損ねた時の真実は何をしでかすか分からないから、恐い。
それはきっと真実に関わっている誰もがそう思っているはず。
雄大も、俺も。
「なんかあったら言えよ」
「もう言っていい?」
「まだ、何もなってないけど」
「だって、恐いんだもーん!」
帰り道の途中、誰もいなかったのが幸いだったが。雄大はもう男同士だということを忘れてしまっているのだろうか、俺に必死にしがみつきながら泣いている。
そっち系だと、思われるだろうが!
「お前には長塚いるし、大丈夫だって」
「…あいつなー、超恐いもん。母ちゃんより」
「………」
真剣に答える雄大のその瞳の眼差しが、何故か俺には痛く感じられた。
「叫心は高橋守れよな」
「おー、当たり前だ」
雄大は声を震わせながらも、必死に俺を励ましてくれている。
その勇気に乾杯だな!
そして、俺達はそのまま他愛もない話を続けながら帰路についた。