小悪魔れんあい

今日一日中、休み時間も授業中も真実の言った言葉が頭から離れなかった。


そして、お昼休み。
今日は真実が珍しく何も言ってこなかったので、俺は麗奈と二人でご飯を食べることにした。


だけど、せっかくの二人きりだというのに。頭から離れない、真実のあの言葉。


「叫心、何か考えごと?」

「え?」


気付けば、目の前で麗奈が不安そうに俺を見つめていた。


また、だ。
俺、何やってんだろ。せっかくの二人きりなんだろ。楽しまないで何やってんだよっ…!


だけど、恐いんだ。
真実の言ってた通り、麗奈に何かあったら…恐いんだ。


「麗奈、今日は松本と帰れ」

「えっ…?」

「今日は早く帰ったほうがいい」

「…どうして?」

「最近暴行魔がこの辺りにでるらしいんだ」

「ほ、ほんとにっ…!?」

「ああ、だから危ないから絶対一人で帰るなよ?」


俺が念を押すうように言うと、麗奈はわかった!と力強く頷いた。


俺はほっと安心するけれど、やっぱりまだどこかで恐がってる。


あの真実が、ただで引き下がるわけもないし。かといって、何をするかは想像できたもんじゃない。


想像、出来ないんだ。





だけど、麗奈には忠告しておいた。これ以上一人で悩み続けていたらそれこそ麗奈に不安がらせてしまうので、俺はそのまま麗奈と楽しく会話を続けた。



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