小悪魔れんあい
暁羅はまだあたしが叫心と付き合ってると思ってる。…って、これはまだ誰にも言ってないからそう思ってるのは当然のことだよね。
言うべきなのかな。言わないでおいたほうがいいのかな。
だけど、寂しいんだ。
叫心が大好きなのは前と少しも変わってない。だけど、寂しい。
寂しくて、辛くて、苦しくて。
誰かにこの気持ちを聞いてほしくてたまらないんだ。
「ほんと、叫心には麗奈を大事にしろって言っておかなきゃ…」
「あ、暁羅!」
暁羅の言葉を遮って、あたしはすこし強めの口調で声をだした。
「…ん?」
「あ、あ…あのね?」
当然、不思議そうな表情であたしを見つめる暁羅。
唇がプルプルと震えて、上手く言葉にできない。言葉にしたくても、出来ない。
「あたしときょっ…しん…、付き合ってないから!」
「…は?」
やっと出たその言葉も、震えてる。
瞳からは、大量の涙が溢れそうだ。いや、もしかしたらもう溢れてるかもしれない。
「おい、ちょっと待てって」
「だから、別れっ…たの!」
「ウソつくなよ、お前らが別れるとか…」
「ほんとなの。ウソなんかじゃないの!」
ウソ。どれほどあたしがウソであってほしいかと願っただろう。
だけど、これは事実。紛れもない事実で、あたしが受け止めるべきこと。
逃げてちゃ、だめなんだ。
「あたしはっ…、もう…叫心の…彼女じゃっ…ないのっ!」
と、体中から声を絞り出したのと同時にあたしは強く暁羅に抱きしめられた。