小悪魔れんあい
「麗奈!!1時間目体育だよ!」
教室に戻ると、既に愛は体操服に着替えていた。
「ごめん!!すぐ着替えるから~!」
教室から出て、体操服を入れてあるロッカーを開けた。
「あれ…?」
必ずあるはずの体操服が
そこにはなかった。
「…おかしいな~…」
こないだちゃんと持ってきておいたんだけどな~…
持って帰ったのかな…?
「愛、ごめん!体操服ないから先行ってて?」
「本当に?!もう、早く来てよねっ」
「はあ~いっ」
違うクラスの友達に体操服を借りに行って、あたしはギリギリ授業に間に合った。
「麗奈、体操服忘れたの?」
「ん~。持ってきてたはずなんだけどな…」
「まさかイジメ?」
「まさかぁ!!イジメなんか受けた事ないって!」
もちろん、今までイジメなんてものに遭遇した事なんかなかった。
考えられない世界だ。
だけど、さっきの長塚さんの視線。
すごく気になる。
愛には心配かけないように、平気な振りをしてるけど
あたしの中には確実に、胸騒ぎがだんだんと激しさを増していった。