小悪魔れんあい



「大丈夫だってぇ!!」


チャリン、チャリン…



高橋は、ニコニコと機嫌よさそうにお金を入れていく。


俺は相変わらず不機嫌なまま。

いや、笑顔で撮りたいんですけど。やっぱ、恥ずかしいから…どうしてもこんな強張った顔になってしまう。






「…叫心、怒んないで?」

「怒ってねえよ!」



せっかく気にして、高橋が話しかけてくれてるのに、俺ってば冷たい言い方でしか返せない。


あーあ、最低な男だな。




「…お願い!撮ろ?」

「…」


俺は相変わらず無言のまま。


無情にも、プリクラの機械は先さき進んでいる。


高橋は気まずくなりながらも、背景、明るさ


すべて選び終えた。



そしてとうとう撮影。





俺も男だ。



俺は、覚悟を決めた。


高橋とプリクラ撮れて嬉しくないのか?

いや、嬉しい!

そう思えば、何て幸せモノなんだろう…!



だけど、俺が決心するのが遅く。
すでにプリクラは一枚目が撮られた後だった。




画面から見ると、高橋がアップに映っていて

俺は殆んど映っていない状態。


高橋との初めてのプリクラが、こんなに微妙な形で終わるのは


すごく嫌だ!


その気持ちが俺を突き動かした。




3…2…




機械がカウントを始める。



その瞬間。





「…一枚だけ…、だからな…!」




俺は、かっこつけながら。
しゃあなし…といった様子で、高橋の隣にさっと移動した。


そして…





パシャっ…







撮影が始まった。


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