小悪魔れんあい
「あ…あのさ!!」
「ど…どうしたの?」
「お、俺…、お前の事…」
俺が急に立ち上がったもんだから。
驚いて俺を見上げる高橋。
そんでもって、バクバクバク…と鳴り響く俺の心臓の音。
こんなでっかく鳴ってたら、いつか聞こえちまうんじゃねぇかって思うくらい。
思いを伝えようとしている俺は
さっきから、顔は赤くて
手はガタガタ震えていて…
何か、病気みたいだ…。
「…俺…!!俺…!!」
もう狂っているかのように、一心不乱で思い
を伝えようとした。
「俺…」
と何回も呟くように言うだけで、何一つ喋れない。
何一つ、その先の肝心な言葉が話せない。
せっかく決心したのに。
「くっそーー!!!やっぱ言えねぇよ…!!」
俺は半ば独り言のように、地面に座り込み地面を叩きながらそう叫ぶ。
高橋は、依然として驚いたままだ。
「ぷっ…!何か叫心、一人コントしてるみたい…!!」
気付けば高橋は、俺を見てお腹を抱えながらクスクス笑っていた。
「お、お前!!何笑ってんだよ?!」
「いや、叫心可愛いなあって思って…」
「バカか!!男に可愛いなんて言うもんじゃねえよ!」
ていうか、お前のが普通に何十倍も可愛いって!
つか、人の一生懸命言おうとしてる努力を潰すなー!!
「と、とりあえず何か飲み物買ってくるから、待ってろよ?」
俺はもう言えない…と悟り、半ば逃げるようにして自販機へと向かった。