小悪魔れんあい




「あ…叫心でてきたっ!」


叫心との出会いの思い出に浸っていると。
噂をすれば…何とかってね!

グランドにお待ちかねの叫心の姿が現れた事であたしのテンションは更に上がる。


それと共に声のトーンも上がる。



「ちょっと!静かに見てよ!バレるじゃん」

「あっ……ごめん」

咄嗟に口をおさえる。



そう。


あたし達の居場所は誰にも知られちゃダメ。
秘密の場所なんだ。

特に叫心になんか、絶対ばれたくない~!

その場所はグランドを上から見渡せる、もう誰も使用しない空き教室。


そこで毎日部活をしている叫心を見るのが習慣なんだ!
もちろん、叫心も気付いていない…ハズ!


何でこんな場所なのかって言うと、グランドで見てたら、叫心絶対怒るから。

前、一回グランドで応援していい?って聞いたときに叫心は絶対ダメ!と言って、頑なに拒否したんだ。

…、分かってたことだけどさ。
やっぱりあんなに拒否られたらちょっとショックだったなー。



叫心達はアップがわりに、軽くボールを使ってパス練習とか色々している。



それも楽しそうにしながら。
その叫心の笑顔にまた癒されて、あたしは叫心から目を離す事が出来ない。


「笹岡も可哀想に。こんな麗奈みたいな女に好かれて…」


愛はアクビをしながら、グランドを見下ろす。




「なんかって何よぉー!」

「そのまんまでしょ!」

「絶対叫心嬉しいに決まってるよ!」

「そ~かな…」



殆んど、愛は眠っている。





ほんと、自分は彼氏がいるからって…友達の恋路にも、もうちょっと興味持ちなさいよね!



あたしは、再びグランドに目をやり、叫心を目で追いかけた。



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