小悪魔れんあい
"お前が好きなんだ…"
俺はそう言ったのと同時に、呆然と俺の告白を聞いていた高橋を思い切り抱きしめた。
かなり、勇気がいるけど…もうここは恥ずかしがってられねぇだろ!
「…叫心…?」
高橋の声は、微かに…だけど少し震えている。
「…本当にごめんな。…今さらだよな…」
「え?…」
「…本当は結構前からお前の事気になっててさ…。でも、お前暁羅と付き合ってたし…モテてたから手に入るわけないって思ってた…」
本当に、高橋は俺にとって神様みたいな存在だったから。近づくことも、話しかけることさえも。へタレの俺にはできなかったんだ。
「でも、あの日…ナンパに絡まれてた日…正直チャンスだと思った。ナンパから助けたら俺は少しでもお前の中に残る事ができるかな…って思って、助けたんだ」
俺は高橋をさらに力強く抱き締めながら、そう話す。
高橋の肩は震えている。…泣いているのだろうか?
「でもそのくせ、お前が俺のとこに好きだって言いにくる度不安で…怖くて…かっこつけてヒドイ事言ってた…」
ほんとバカらしいよな。
だけど、俺はかっこつけてまでしても、お前にだけ好かれたかったんだ。
こうやってそっけないフリしとけば、高橋は俺だけを見続けていてくれるかもしれない。
そう思ったら、もうやめられなくなってた。
それくらい、手に入れたかった。欲しかったんだ。
俺は高橋の肩を掴んで、顔と顔が向き合うように体を離した。
かなりこのドアップ、照れる…。
「今さら、俺から"好き"なんて言葉いらないかもしれない…」
俺の一言一言に反応しながら、高橋は涙を流していく。
「でも、それでもいいんだ。今度は俺がお前を追いかけるから。」
もうお前に嫌われようが、ウザがられようが。
そのつもりだった。
今度は、俺がお前のために必死になろうって決めたんだ。
高橋の瞳をまっすぐ見据えながら、俺はそう言葉を零した。