小悪魔れんあい
「っ…!!」
高橋は、俺の言葉を聞くや否やヘナヘナ…と地面に座り込んでしまった。
「お、おい?!大丈夫か?」
「っく…、きょ、叫心かっこ良すぎだよ~…!!」
俺も慌てて同じ高さまでしゃがみこむ。
すると、高橋はもう小さい子が泣いて出すような声を出しながら、泣いてそう言った。
「…何でそうなんだよ…」
高橋のその言葉に、俺は思わず笑みを零してしまった。
「だって、嬉しくって…。叫心は長塚さんが好きだと思ってたから…」
「ばーか。抱き着かれたのだって不意打ちで逃げられなかったんだ」
俺は笑って高橋の目に溜まった涙を拭いながら、前にしゃがみこむ。
「…叫心?」
「ん?」
「…さっきの本当?」
高橋があんまりにも可愛くそう言うから。
俺は、もう半ばやけくそになって自分のオデコを高橋のオデコにコツン…とぶつけた。
「嘘であんな事言える程俺器用じゃねえよ…」
顔がいつもよりだいぶん近くにある。
ずっと遠くからでしか眺めることができなかった高橋の顔が、こんなにも近くにある。
もう、心臓が張り裂けそうだ。
「…あたし、こんなんだよ?」
「うん」
「全然ブサイクだよ?」
「ブサイクじゃないよ」
どこが、だよ。
ていうか、可愛かったらモテすぎて俺が困るだろーが。
「性格悪いよ?」
「悪くねぇよ」
「…あたしで…本当にいいの?」
俺を見上げて、まるで子犬のような表情でそう呟く高橋。
あー、もうだめ。
可愛すぎ。
「お前…、最高だ…っ!!」
俺は恥ずかしくなって、顔を隠すついでに高橋の身体を再びぎゅっと抱きしめた。