小悪魔れんあい
「麗奈ってさ~、分かりにくいのよね」
「何が!?」
急に起きて、何を言い出すのかと思えば、愛さん!?
あたしは十分分かりやすい人間だと、思うんですけど…!
「麗奈の本気って、どれが本気か分かんない」
「…本気って、気持ちが?」
「うん」
「あ、あたし、叫心の事めちゃめちゃ本気なんだけど…!」
そんなの当たり前じゃんかっ!
じゃなきゃ、わざわざ教室まで行ったり、今だって部活してる姿見たりしないしっ!
ていうか!
何で急にそんなこと言うの!
「いやぁ…、笹岡はそれが分かんないんだと思うよ」
「叫心にあたしの気持ちが伝わってないって事!?」
「ほら、あんたって簡単に好き好き言うし…」
「うっ…」
そ、そりゃぁ、好きだから好きって言っちゃうんだもん。…しょうがないじゃんか。
だけど、あたしから好きって言うのは、叫心しかいない!
それに、あたしが言う"好き"は叫心だけへの特別な言葉なのに…。
叫心にとっては、軽い簡単な気持ちだと思われてるのかな。
「笹岡も結構ってか、かなりモテてるじゃん?だから、あんたもミーハーなファンの一人だと思われてんじゃない?」
「えぇ?!そんなのヤ!絶対ヤダー!」
あたし、ミーハーなファンのまま終わりたくないし…
ていうかファンなんていう、軽い気持ちじゃないし。どっちかというと、ストーカーに例えたほうがいいのかもしれない。
それにいつも毎日ずっと。
いつか叫心の特別な女の子になれるって信じてるのに…。
「叫心~…。あたしすっごく本気だよ…?」
あたしはグランドにいる叫心には届かない声で小さく呟いた。